言語コミュニケーションと非言語コミュニケーション
新型コロナウイルス感染症の感染症法上の扱いが5類に移行され、徐々に対面でのコミュニケーションが増えているのではないでしょうか。そこで、今回は言語コミュニケーションと非言語コミュニケーションのお話をしたいと思います。
目次
言語コミュニケーションと非言語コミュニケーション
コミュニケーションというと、言葉で話すことや書くことを思い浮かべるかもしれませんが、実は、言葉以外の要素もコミュニケーションには重要な役割を果たしています。それが、「非言語コミュニケーション」と呼ばれるものです。非言語コミュニケーションとは、表情や視線、身振り手振り、声のトーンや速さなど、言葉ではない方法で伝える情報のことです。
非言語コミュニケーションの重要性を示す有名な法則があります。それが、「メラビアンの法則」というものです。メラビアンの法則とは、アメリカの心理学者アルバート・メラビアンが1960年代に行った実験から導き出した法則で、話し手のどのような情報が聞き手の印象に影響するかを数値化したものです。
メラビアンの法則
メラビアンの法則によると、聞き手が話し手から受け取る情報は、「視覚情報」が55%、「聴覚情報」が38%、「言語情報」が7%だということです。視覚情報とは、話し手の表情や視線、身振り手振りなどを見て得られる情報です。聴覚情報とは、話し手の声の大きさやトーン、速さなどを聞いて得られる情報です。言語情報とは、話し手の話す内容や言葉そのものを聞いて得られる情報です。
この法則からわかることは、言葉そのものよりも、表情や声などの非言語的な要素の方が、相手に与える印象に大きく影響するということです。例えば、子どもに「怒ってないよ」と言っても、表情や声が怒っているように見えたり聞こえたりすると、子どもは「絶対怒ってる」と感じてしまいます。逆に、「怒ってるよ」と言っても、笑顔で優しい声で言えば、子どもは「冗談だ」とわかります。
言語と非言語を一致させる
しかし、メラビアンの法則は、「言語によるコミュニケーションよりも非言語コミュニケーションが大事だ」ということを主張しているわけではありません。
この法則では、コミュニケーションにおいては、「視覚情報」「聴覚情報」「言語情報」の3つの要素が一致していることが大切なのだと言っています。
3つの要素が一致していれば、話し手の意図が正確に伝わりますし、聞き手も信頼感や理解度を高めることができます。逆に、3つの要素が食い違っていれば、話し手の意図が曖昧になりますし、聞き手も混乱や不信感を抱くことになります。
コロナ禍で直接対面する機会が減った今だからこそ、コミュニケーションの質を高めるためには、「視覚情報」「聴覚情報」「言語情報」の3つの要素を意識することが重要です。オンラインでも、服装や髪型、背景や照明などは視覚情報に影響しますし、マイクやイヤホンなどは聴覚情報に影響します。言語情報も、話す内容や言葉遣い、文章の構成や表現などに気を付ける必要があります。
話を聞くときも3つの要素を一致させる
コミュニケーションは双方向ですから、話すときだけでなく、相手の話を聞くときも同じことが言えます。
相手の話を聞くときには、相手の方を見てうなずいたり、相槌を打ったりすることで、非言語コミュニケーションを行うことができます。また、相手の話した内容に対して質問したり、感想を述べたりすることで、言語コミュニケーションを行うことができます。そのときも、「視覚情報」「聴覚情報」「言語情報」の3つの要素を一致させるようにすると、相手にこの人は私の話をよく聞いてくれているという印象を与えることができます。
コミュニケーションは人間関係を築くために欠かせないスキルです。コミュニケーションのスキルを磨くためには、「視覚情報」「聴覚情報」「言語情報」の3つの要素を一致させることを心がけてみてはいかがでしょうか。
そうすれば、あなたも相手も、より満足できるコミュニケーションができるようになるかもしれません。