相手の話を聞くときの基本姿勢
皆さんは普段、相手の話を聞くときに、どんな姿勢で聞くように心がけていますか?上司として部下の話を聞くとき、どんなことを心がけて部下の話を聞いていますか?
目次
- ○ 相手の話を聞くときの基本姿勢
- ○ 「教えて欲しい」という”謙虚さ”
- ・ワン・ダウン・ポジション
- ・not knowing
- ○ 「聞きたい」という“好奇心”
- ・相手に関心を持つ
- ・相手の話に関心を持つ
相手の話を聞くときの基本姿勢
「人は自分の話を聞いて十分に理解してもらえるとすぐに前進を始める」
コーチングは質問力が大事だと言われますが、コーチになりたての頃は質問力を磨く方が大事だと思っていました。今は、質問すること以上にクライアントの話を聞くことの方が大事だということを実感しています。
人は話すことによって自分の考えや感情を整理できて、自分の内側にあるものを知ることができます。相手に聞いてもらい理解してもらえたと実感できるだけで気持ちが楽になったり、自分の中で解決策が見つかって前進できるようになります。
皆さんも経験があると思いますが、人に相談するときって、何かよい助言をもらいたいとか、いい意見が欲しいというよりも、とにかく聞いて欲しいという気持ちの方が強いと思います。
上司と部下との会話も、上司は部下に何か良い助言をしたり、自分の意見を部下に伝えることよりも、部下の話を部下が満足することができるように聞くことが大事だと思います。
今回は、相手の話を聞く姿勢として、2つのことをお伝えします、。
「教えて欲しい」という”謙虚さ”
「教えて欲しい」という“謙虚さ”とは、出会う人すべてから学ぶことができるという姿勢です。
ワン・ダウン・ポジション
ワン・ダウン・ポジションとは相手よりも自分を一段下に置くということです。これは、自分を卑下するということではなく、相手よりも少し立ち位置を下に置くことで相手をたてるといったイメージでしょうか。
私はコーチ以外に社会福祉士という専門職として、子どもや親の相談支援をしています。このような支援する側、支援される側といった関係性は、支援する側の方が心理的に優位な立場になります。支援する側は自分の方が知識や技術や経験があるので、自分の方が何でも知っている、自分の方が正しいといった考えや思いを持って接してしまいがちです。そうなると、なかなか相手の話を聞くということはできません。
上司と部下との関係性はどうでしょうか。上司の方が部下よりも知識や技術や経験があるので、上司は自分の方が何でも知っている、自分の方が正しいという姿勢で接することが多くなるのではないでしょうか。
また、上司はその役職があることで、すでに部下よりも1段高い位置にいると自覚した方が良いかもしれません。
1段下がって部下と同じか、もしくは部下よりも少し低い位置に自分を置いて部下の話を聞くという姿勢で接することができれば、部下は今まで以上にいろいろなことを話してくれるかもしれません。
not knowing
not knowingとは私は何も知らないという姿勢です。
自分自身の先入観や価値観を脇に置いて、「私は何も知らない」と姿勢で相手の話を聞くことです。相手から学ぼうとする、相手の言ったことに「なるほど」「そういうことなんですね」という感心した態度を示すことです。
皆さん、相手が言った言葉の意味が分からないのに、聞くのが恥ずかしいという思いや、何となくこんな意味だろうと思って聞き流すことはありませんか。そのときに、「今の〇〇って私良く知らないので教えてもらえませんか?」と聞くことで、相手は気持ちよく教えてくれます。
聞いた上で、「そうなんですね。勉強になりました。ありがとうございます。」と返せば、相手も気持ちよく会話を進めていくことができるのではないでしょうか。
「聞きたい」という“好奇心”
「聞きたい」という“好奇心”とは、熱心に耳を傾けるということです。相手に関心を持つ、話の内容に関心を持つことです。
相手に関心を持つ
相手に関心を持つとは、相手のことで知らないことはたくさんある、もっと相手のことを知りたいという姿勢で聞くことです。
この人はこういう人だとか、私はこの人のことはだいたい分かっていると思っていては相手に関心を持つことはできません。
まだまだ、知らないことはたくさんあると思って聞きたいという姿勢で話を聞くことです。そういう姿勢で話を聞けば、相手のことをより深く理解することができるのではないでしょうか。
相手の話に関心を持つ
相手の話に関心を持つとは、今から聞く話の中に新たな発見があるかもしれないという姿勢で聞くことです。
相手が話す内容について、自分が少しでも知っていると、「ああ、それ知ってる」と思って、聞く気がなくなったり、自分がそのことを知っていることをアピールしようと思って、「それ私知ってる」とか「○○っていうことだよね」と相手の話をさえぎることはありませんか。
すでに聞いたことのある話題でも、ひょっとすると自分の知らないことがあるかもしれない、新たな発見があるかもしれないと思って、好奇心を持って聞く姿勢が大切です。
相手のこと、相手の話に関心を持って聞くことで、今まで知らなかった相手の一面を見ることができたり、相手のことをより深く知ることができるかもしれません。
今日から相手の話を聞くときは、「教えて欲しい」という”謙虚さ”と「聞きたい」という“好奇心”を持って聞いてみてはいかがでしょうか。
上司の方は部下との関係性にも変化が出てくるかもしれません。